結論 全部「買い!」

昨日、会社の近所の本屋で「ムーミン画集 ふたつの家族」を買いました。


先日ムーミン展で、ムーミン展図録と「ムーミン谷博物館20年記念誌」を購入したのですが
それとあちこち比較するのを楽しみにしていました。
本文はまだ実は読めていないのですが、
いくつかの特徴的な作品の写真を比較しつつ、愉しんでみようと思います。
(その際、あまりしてはいけない、というよりするべきではないとは理解しているのですが
画集の内容の写真を掲載しています。この行為は著作権に抵触します。今後慎みます。今回は好奇心が勝ってしまいました…申し訳ありません。)

まずは表紙。
左から、
ムーミン展図録(以下図録)、「ムーミン谷博物館20年記念誌」(以下記念誌)、「ムーミン画集 ふたつの家族」(以下画集)。
「画集」は、昨日買ったばかりでまだ本文を読めていないのですが、
ざっと目を通した限りでは少なくとも、3冊の中で「記念誌」はまったく違う内容だということだけはわかります。
博物館の紹介、企画展について、ムーミンが生まれた経緯や時代背景、挿絵と物語の関係性、挿絵の技法、立体模型の解説、ムーミン原画がタンペレにやってくる経緯など
今まであまり知られていなかった、博物館ならではの切り口で読み応えがあります。
スナフキンソングのCDつきで、CDを聴きましたが物悲しくもあり、暖かくもある、素敵な音楽の入った良質のCDです。
表紙、装丁のデザインもすばらしく、中の構成は英語と日本語の対訳で、日本語が若干硬いですが、英語も硬かったです。
元の文が硬い文章なのかもしれません。
全体的に、かゆいところに手が届く感じで構成されており、ものすごくよくできた(これが重要)博物館の紹介本です。ムーミンファンなら絶対「買い」です。
ざっと見た感じでは、「記念誌」に載っている原画と、
「画集」と「図録」に載っている原画はあまり共通していません。
「画集」と「図録」は同じ作品も多数掲載されています。


「図録」と、「画集」に関しては、
(当たり前かもしれませんが)原画がたくさん記載されており、
原画展に足を運べない人たちがこれを購入して読めば、わずかばかりでも原画展の雰囲気を体感できるような内容にはなっています。ただ、原画展に行くことができる方は是非足をお運びになってください。
何度も行く価値のある展覧会です。私は大阪で2度行きましたが、1度目は1度目の(はじめて原画を見た感激も含め)、2度目には2度目の感動がありました。
東京にもGW明けになりそうですが、行く気満々です。


原画展でも印象的だった2枚の絵を、2冊の本で比較してみます。
ムーミン谷の彗星』の挿絵の中でも人気のある(グッズも多数)、「潜水ムーミン」(と勝手に私は読んでいます)の絵。

「図録」に掲載されているもの。

そのページ。図録のサイズは縦22.3cm×横20cm×厚さ0.9cm弱。小ぶりなサイズに
作品によっては1ページに1枚の、多いページでは6枚ほどの原画が掲載されています。
平均的には1ページ4枚。
このページは技法の違う潜水ムーミンが2枚です。
ですが、もちろんかなり小さくはあります。

こちらが「画集」の潜水ムーミン。画集のサイズは縦26.7cm×横22cm×厚さ1cm。
潜水ムーミンは1ページに1枚、つまり技法の違う2枚が見開き2ページで掲載されています。
画集を原画展に持って行って比べたわけではないので定かではありませんが
ほぼ原寸大に近い大きさのものではないかと。
ほぼ、じゃなくて本当に原寸大だったらさらにうれしいですね。
Tooさんも何日か前に日記で書かれていましたが
この「画集」は印刷がすばらしいです。
原画のリタッチの後や、ホワイトで上塗りされている部分、下書きの鉛筆の線まで再現されています。

よく見ると、潜水ムーミンの上にホワイトインクで塗ってあるのがわかりますか?
画集という印刷媒体を、またデジカメで撮影してそれをさらにブログ用に解像度を調整しているので
見づらいかもしれませんが…

ムーミンのアップ。粒子が出てしまいましたが、実際は高級感と厚みのあるつるっとしたコート紙です。
図録や画集はこういう紙であることが多いので、色や線の再現度が高いのだと思います。(あまり詳しくないのでツッコミなしで)


もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、
「図録」では紙も含めた原画そのものの写真を見せる、「画集」では原画を見せる、
という切り口なのがわかります。
「図録」に掲載されているほとんどの写真は、本の地の色(真っ白)とは異なった紙色(ちょっと茶色っぽく色褪せている)になっています。物によっては、原画の紙のふちまで見えていたり、紙の皺や寄れまで写っているものがあり、臨場感があります。
「画集」に関しては、紙そのものの質感は絵によっては出ているのですが
基本的には(一部を除いて)モノクロの挿絵に関しては白い背景に整理されています。
わかりやすい例を掲載します。

こちらは「図録」。
原画の描かれている紙の汚れ、皺、色褪せまでも写りこんだ1枚の写真として掲載されています。
原画としての臨場感があります。

こちらは「画集」。
整理された線としての原画になっています。ムーミン童話に掲載される時はもちろんこのように処理されると思いますので、これも正しい姿です。
ちなみにこの原画は、実際に採用されている絵とはまた違うものです。
トーベ・ヤンソンは最終的な1枚にたどり着くまでに、いったい何枚の絵を描いているのでしょう…驚くべきことです。


最後に1枚だけ!「画集」のすばらしさがわかる1枚をお見せして、著作権抵触は終わりにします。

大好きな雪の中のローブムーミンの絵。
この絵を原画展で見たときの衝撃は原画展の感想の中に書いてありますが
後からTooさんに教えていただいたことによるとスクレイパーという技法によって描かれているそうで、
その詳しい内容は「博物誌」のほうに記載されていました。
このローブムーミンの絵が
「画集」の中で、もっとも現物に近い形で掲載されています。

こちらは「図録」。「図録」のほうでもよく見ればわかりますが、「画集」ほどの再現度はありません。
とは言え、「図録」としての完成度は今までたくさんの絵本などの原画展を見てきましたが
最高ランクだと思います。
この「図録」はムーミンファンなら是非とも買うべきです。断言します。
巻末にタンペレムーミン谷博物館の紹介DVDもついていて、とてもお得な1冊になっています。

そして、「画集」のローブムーミンです。
あのローブムーミンの原画を見た時の感動が甦るようなすばらしい再現度です。
写真ではわからないかもしれませんが、後ろの水浴び小屋を削りだした部分もはっきりと再現されています。このページには他に5枚の原画が掲載されていますが、
こちらもおそらく原寸大?に近いサイズになっていると思います。
これは原画展で確認すべきポイントかもしれません。


以上、3枚の絵を比較・検証した結果(本文などの内容はまだ未検証)、
ムーミン展図録」、「ムーミン谷博物館20年記念誌」、「ムーミン画集 ふたつの家族」、
この3冊すべて、「買う価値のある」本になっています。
と私がわざわざ声高に言わなくても、みなさんお買い求めにはなるとは思いますが
その背中をどん!と強くさらにひと衝きできればと思いつつ、やらなくてもいい検証を終えたいと思います。


内容に関してはまた週末の夜にでもゆっくり愉しみたいと思っています。