憧れのムーミンママ
もう15年くらいもムーミンが好きだったのに、原作を読んだことがなかった似非ムーミニストの私。
『ムーミン谷の彗星』『楽しいムーミン一家』『ムーミン谷の冬』を
2週間ほどかけてゆっくりと読みました。
そうすると、いろんなものが見えてきた。
ムーミンに出てくる登場人物(人じゃないけど)たちは、どれもこれも
とても一言で言い表せない、登場人物紹介みたいなところにコンパクトにまとめるには
どうにもこうにも言葉足らず。
ムーミンにしても、ある時はすごく臆病で引っ込み思案で繊細で甘えん坊、だと思えば
ある時は優しくて勇敢で芯が強くて思いやりがある。
そして、思えばきっと
私のまわりのどんな人も本当はきっとそうなんだ、
「あの人はこれこれこういう人だ」と一言で絶対に言い表わすことなんかできないに違いない、と気付かされるのです。
でも、その中でただ一人、
ああ、この人はとても深くて暖かくて大きい、と思ったトロールがいました。
みなさん簡単に想像がつくでしょうが、ムーミンママです。
『ムーミン谷の彗星』で彗星が到来する瞬間、安全な洞窟から煮えたぎる大地に
スニフを探しに飛び出してゆこうとするムーミン。
フローレンは止めるのですが
ママはきっぱりと言う。
「これは、しなくちゃならないことよ。いそいで、できるだけ早く。」
この言葉を読んだ時、泣きそうになった。
同じ状況になった時、私は息子に同じことを言ってあげられるだろうか。
大切な友達を探すために危険に飛びこもうとする息子に、こんなきっぱりとした態度がとれるだろうか...
絶対にとれないと思う...
『ムーミン谷の冬』でもムーミンママ、本当にすごい、と感嘆してしまったセリフ。
冬眠からたった一人で早く目覚めてしまったムーミンの家に
たくさんの飢えたお客がやってきて住みつき、ママがたくさん作ったジャムを全部食べちゃったり、
大切にしているものを壊したり、夏祭の時にしか使わない大事な大事な銀のおぼんで氷滑りをしちゃったり、
ご先祖さままで出てきて家具の配置替えをしちゃったりで
家の中はもうほんとうにメチャクチャになってしまうのですが...
ママはムーミンに言うんです。
「あんたが、お客さんのせわをしてくれたおかげで、
ママはどこへいっても、はずかしい思いをしないでいられるわ。
それにね、あんまりしきものやら、がらくたやらが、
ごちゃごちゃあるより、これくらいのほうが風通しがいいのよ。
それに、おそうじだってらくになるしさ。」
...絶対に言えない...
私だったら、怒って、怒って、言い訳も聞かずに怒鳴りまくって
ムーミンを追いつめてしまうにちがいない。
あぁ、ムーミンママみたいになりたいなあ...
憧れるけど、私には無理だと思う、情けないけど。