グレッグ酒

IKEAに買い物に行き、食料品売り場に行くと前回行った時にはなかったグレッグ酒を発見。
安かったので「冬はもう終わったけどね…」と思いつつも一本買ってみた。
そこではじめて気付いたのだが
昨年のアラビアムーミン冬マグBonfireの中の、ムーミンパパのシーン、
コミックスで調べるとパパのセリフが「グレッグ酒はいるかい?」だったのですが
これってスウェーデン語だったんですね。
フィンランド語だと「グロギGlögi」、スウェーデン語だと「グレッグGlögg」。


ムーミンコミックスは、先日の原画展でも二つの言語の原稿が展示されていました。
英語で描かれたものとスウェーデン語で描かれたものがあったようですので
Bonfireのあのシーン(ムーミン・コミックスN:8『ムーミンパパとひみつ団』「やっかいな冬」P27)
スウェーデン語で描かれていたのかもしれないな、と思いました。

ホットワイン」というのが日本語に変換するときは一番分りやすい言葉だとは思うのですが(まさか「熱燗」と訳すわけにはいかないし!)、
日本語に翻訳してあっても、その国その国固有の文化や風習はなるべく
こんな風に原型に近い形で会話に織り込まれているほうが、読んでいるほうも楽しいですね。


だからと言って、「彼はふすまを開けた。」というのを「He opened FUSUMA*.*In Japanese architecture, FUSUMA (襖) are vertical rectangular panels which can slide from side to side to redefine spaces within a room, or act as doors. (Wikipediaより引用)」などと訳されては
FUSUMAって何?と思って説明を読んでしまい、物語の流れが途切れて台無しになってしまいますし。
しかしながら、逆に「He opened the door.」のほうがいいかと言えば、伝わってない部分があるような気がしますし。(実際に志賀直哉の『暗夜航路』では後者の訳が採用されています。)


という意味では「グレッグはいるかい?」じゃなくて、「グレッグ酒はいるかい?」としたことで
会話の流れは途切れさせずに読み進めることが出来る、名訳だと思います。


などと、つらつら考えながら北の国のお酒を飲み飲み過ごすひとときは、まさに
「春宵一刻値千金」なり…