ムーミンで好きなキャラクター

ムーミンシリーズ原作読破状況。

『たのしいムーミン一家』
ムーミン谷の彗星』
ムーミン谷の冬』
ムーミン谷の仲間たち』
ムーミン谷の十一月』

一番好きなの(本)は、『ムーミン谷の彗星』。次に『ムーミン谷の冬』。

ここまで来て、今さらながらですが、一番好きなキャラクターは「ムーミン」だったりします。
あまりにもど・定番で照れますが…
みなさんはどのキャラが好きで、どういうところが好きか、よかったら教えてください。

一番好きなの(本)は...って書きましたけど、
実は一番面白いと思ったのは『ムーミン谷の仲間たち』。
好きーーーー!!!っていうのと、面白い、ニヤッていうのはちょっと違いますでしょ?

心を猫の舌で舐められたみたいな、(ちょっといい表現が思い付かない)ざらりとしたところがあるお話ばかりで読みごたえがあります。
どれもいいけど(これ以下、『ムーミン谷の仲間たち』を未読の人は読むべからず。)
「ぞっとする話」と「世界でいちばんさいごのりゅう」は特に面白いと思う。

「ぞっとする話」は、ホムサにすごく共感。
私も子供の時、そうだった。
悪いことや怖いことを想像して、基本的には毎日平和でいいことばかりの現世とバランスを取っていたようなところがあった。ホムサみたいに口には出さなかったけれど...
ロアルド・ダールの短編集にも、同じようなぞっとする話が載っている。

夕暮れ時、子供が家路を急いでいる。
いつもの道。いつものように子供自身のルールで歩く。道の色分けされたタイル。
青は安全、赤は鎌首をもたげている蛇の海。
青だけを選んで歩く。
一歩、ニ歩、三歩------と、次の青までの距離が、子供がちょっと飛べないくらい遠い。
子供は悩む。行くか、行かざるべきか。
蛇の大群は迫ってくる。

苦悩の末、子供は飛ぶ。

そして、夕闇の空に、子供の悲鳴が響いて、物語はいきなり終わる。

...本気でぞっとした。
私も、私の友達も、よくやる遊びだったから。
もしかすると、落ちていった子供は自分だったかもしれないのだ。
そして、何十年後かの今、息子がショッピングモールなどで同じことをする。緑は安全、赤は火。
学童からの帰り道でも、マンホールだけが安全、あとは暗黒空間、と子供のルールを決めて飛ぶ。

ああ、子供ってみんなやるんだなぁ、と安心もするし、恐怖でもある。
そしてここにも、ムーミンの世界にも同じようなことをしている子供がいた、と思った。

そういう意味で、私にとってはホムサの話はほんとうに「ぞっとする話」でした。
ミイがいい味出しています。
いつも山椒みたいなミイだけど、このお話でもやはりミイはミイ。すごくいいです。

「世界でいちばんさいごのりゅう」はムーミンスナフキンの友情の物語。
ムーミンの男気、スナフキンの男気。
いろんな男気があるんだなあと二人の友情に感嘆します。

ふたりとも、ほんとうのことを多分知っているのだろうなと思う。
お互いが知っていることも、ほんとうは何があったかも、知っているのだろうなと。
でも、お互い、知らないふり。
かっこいいです。

こんなかっこいい友情のお話を、読んだことがないかもしれない。

アーノルド・ローベルの『ふたりはともだち』なんかはすごくリアルで別の意味でぞくっとするけど、決してかっこよくはないし。
そういう意味ではやっぱりスナフキンもいいなぁ。

...という感じで原作を読み進んでいても、いや、進めば進むほど、
このキャラクターが好き!ってしぼれなくなってきています。

困った、
いや、困ってないけど、やっぱり困った。