民芸

アラビアをはじめて知ったのはムーミンでした。
ムーミンのマグの裏側にARABIAというロゴを見たのがはじめて。
見た瞬間、マグの上のムーミンの世界観に圧倒されたのがきっかけでした。


次にそのロゴを見たのは、ウラ・プロコッペという人がデザインしたGAポットでした。
その時も、どこかの店のサイトでGAポットを見かけ(ネフやAntonio VitaliやEnzo Mariの玩具を探していた)、電撃直下の一目惚れ。
(こんなに一目惚れを多用するのは好きではないのですがもうかれこれ10年ほど前のことですので
そうしょっちゅう一目惚れしているわけではありません)
最初は黒大を買い、サイズ展開、色展開があるのを調べ、次々と3つほどのGAポットを買い込みました。
その時ですら、ARABIAという会社を強くは認識しておらず
私がARABIA窯に夢中になったのはやはりパラティッシからだと思います。
同じ趣味を持っている友達(木製玩具好き)数名が「ブラックパラティッシが廃盤になる!大変だ!買っておいたほうがいい!」と教えてくれて
そうなの?じゃあ買っておこうかな…とブラックパラティッシを買いにデパートに行った時
ブラックではなくカラーパラティッシの圧倒的な存在感にまたもや魅了されてしまい
(でもブラパラはちゃんと買っておいた)その後、嵐のようなブラパラブームが世間に訪れたあたりから
「ARABIAの器が好き」とようやく自覚しはじめたのです。
自覚してからはARABIA(iittala)に夢中になりました。
北欧雑貨屋で実物も見るし、デパートの催しものにも行く。
ネットショップとオークションもチェックする。
そして知ったのはARABIAの器のラインの多用さで、たくさんのデザイナーをかかえ、ものすごい数のシリーズの食器を作っている、方向性も決して同一ではなく、シンプルなものから華美なもの、無骨なものから繊細なものまで多種多様。
その中から自分の好みのものを探し出す楽しさといったらなかったです。

そして結局、今も好きで、ずっと好きだなぁと心から思えるのは、やはり最初にGAポットで惚れた
ウラ・プロコッペデザインのいくつかのライン。
この「日本の民芸品ですか?」と言いたくなるような土鍋もそのひとつ。LIEKKIという直火にかけられるシリーズです。

シンプルで飽きない形、丈夫で(笑)、使うとパーツひとつひとつが使いやすいように作られているのがわかるのがウラ・プロコッペデザインの特長です。プロコッペの器や道具は他のARABIA食器に比べて、とても洗いやすいんです。
カイ・フランクデザインも、ウラ・プロコッペデザインも
その形、その使いやすさは日本の造語である「民芸」という言葉が連想されます。
「民芸」とは「民衆が日常に使う工藝品である」(大正末期、柳宗悦によって提唱された造語)
の言葉どおり、
特別な日に使ったり、飾って眺めたりするより、日常で使うとそのよさがより強く感じられます。

まだ一生これを使うぞ、と思える土鍋が見つかってないし、
東北の鉄瓶を買って育てていく勇気はありませんが(錆びさせちゃいそうだし)
日本や北欧の、身の丈にあった「民芸」を日々使うたびに
いいなぁ、すばらしいなぁと小さく感動しています。

今日もムーミンあんまり関係ないってか???
いや、ムーミンマグが私にとっての「民芸」だと言うことで…