チルドレンセット「夏祭(Midsummer Madness)」

初心に戻るシリーズ第3弾。
イラスト出典はすべて『ムーミン谷の夏まつり』より。

色々とフクザツなガールズトーク中の3人+リトルミイ


髪型のことをミムラスノークのおじょうさんに好き勝手に話題にされ、
もともとセンシティブになっていたミーサは怒鳴って泣いてしまいます。
ミムラにもおじょうさんにも、たいした悪気があったわけではないのですけど
何だかこういうことって、現実社会でもあるよなぁと思ってしまうシーンです。
第4章「みえっぱりということ、そして木の上でねるのはきけんであること」より。

ミイだけ別シーンのカットです。第5章「劇場で口ぶえをふくと、どうなるか」より。
「敵のに決まってるわ。わるものたちのひみつの入り口よ!まあ、すごい!」とミイ。

“「ミーサは、かみのスタイルを、かえたほうがいいわ。まん中でわけるのは、にあわないもの。」
と、ミムラねえさんがいいました。”

“「前がみが、ミーサにはないのよ。」
スノークのおじょうさんはそういって、両耳のあいだのやわらかな毛を、かきあげました。”
(両耳のあいだの毛→つまり前がみだ〜〜〜!)
ミーサのこの表情……この部分のセリフだけ抜き出しても、ミーサが怒るのも無理はないという気もします。

マグの絵は、第2章「朝ごはんをさがしにもぐる」と第13章「罰とほうび」より出典。

こちらの半分は、原画を反転されたものが使用されています。

“小さなはい虫が、感心してたずねました。
「この大きな洪水は、みんなミーサをおこらせるためだけだったの?」
「そんなこと、いったんじゃないわ。」と、ミーサは、なみだごえをだしました。
「だれかが、わたしのことを考えて、わたしのためになにかしてくれたっていいでしょ?それなのに、この洪水ときたら!」”

“「わたしは、説明しただけなのです。」
と、ホムサがいいました。
「これは、気持ちの問題よ。気持ちは、説明ではなおりません!」
と、ミーサはいいました。
「いやはや、どうも。」
ホムサは、しょげかえりました。”
ミーサってめんどうくさい人ですね…でも、こういうことってあるよね、とも思いますし。

“「ママの時代には、こんなことなんか一回もおこらなかったよ!」
と、はつかねずみのおかみさんが、はげしくしっぽをふりたててさけびました。”
ここまで、第2章「朝ごはんをさがしにもぐる」より。


スナフキンからは章が変わります。

このスナフキンが先頭に立って、

この一団を引っ張っているかのようなレイアウトに変更されていますが、実は原作では

スナフキンは、いちばんうしろを歩いていました。”なのです。
何故、一番後ろで、後ろを気にして歩いていたのかは、原作を読んでくださいね。


ムーミンが目じりに皺を寄せてまで大喜びしているのは、物語の前半では幸せそうではなかったミーサとホムサが、“それぞれその人にぴったりしたことができるようになるものは、うれしい”からです。
そして、24人のこどもたちがスナフキンがいなくてさびしがることに関しても、自分なりの決着点を見出せたからです。(両方ムーミンママのアシストが必要ではありましたが)
私は、だいたいいつもは物語の主人公にはあまり興味がなくて、その廻りで割に合わない立ち回りをしたり、
ついつい主人公に意地悪してしまう役柄が好きになることが多いのですが
ムーミン物語だけは、
読めば読むほどムーミントロールが一番好きになります。
とりわけ、スナフキンやミイにふりまわされて困った顔をしているムーミンが一番好きです(笑)。

ミムラに抱かれたミイがかわいい。

末尾を行く小さなヘムルがにぎりしめている小さな黒いズックのノートがスナフキンを救います。
ムーミン谷の夏まつり』で、自身も、そして読者をも、いちばん幸せにしてくれたのは
この小さなヘムルではないでしょうか。


すべての絵の出典を調べ、その周辺のストーリーを紐解くにつけ、
プレートとマグという、たったこれだけの器の中にも『ムーミン谷の夏まつり』のストーリーがちゃんと描かれているのが何だかすごいなぁとしみじみ思ってしまいました。